これは実際にあった話を映画にしたものです。
時代背景は昭和四十年頃、石炭が石油に押されて不用なものになっていった時代。
福島県にあった常磐炭田では、閉山に向かうためにどんどんリストラしていた。
そのリストラの過程で、雇用を増やしまちおこしをするために、あんな寒い東北に「常夏のハワイをつくろう!」と思ったんですね。
石炭を掘る、すると温泉が出てしまう。
その温泉を捨てるために年間何億ものお金がかかっていた。
その温泉を逆に利用して、ドーム状の温室をつくりハワイをつくろう、という夢のようなプロジェクト。
当時、ハワイというのは日本人にとって憧れでした。
ハワイなんて行けるような状況じゃなかった。
とてもお金がかかったし、海外旅行なんかなかなか自由に行けない時代です。
ハワイは、夢のまた夢だった。
それを東北の寒いところにつくって、「まちおこし」をしようとした。
それが「常磐ハワイアンセンター」、現在の「スパリゾートハワイアンズ」です。
スゴイところは、フラダンスを踊っている女の子たちはみんな、炭鉱の娘たちだったってことです。
誰一人プロはいない。
映画で松雪泰子演じるフラダンスの先生。
実在していて、現在も70歳を過ぎて指導しているそうです。
その方が来て、オープンまでのわずか半年のあいだに、炭鉱の素人の娘たちをフラダンスができるように訓練したという話です。
岸部一徳がその責任者の役で出ているんですが、
松雪泰子が彼にこういうことを言うんです。
「そんな半年なんかで素人を舞台に上げるなんて無理だ。なんで炭鉱の娘を使わなきゃいけないんだ。どうせなら、東京から踊れる若い子をたくさん呼んできてオープンすればいいじゃないか」って。
それに対して岸部一徳が
「炭鉱の娘でなきゃダメなんです。このまちの将来がかかってるんです」
って答えるシーンがあるんですよ。
何のコンセプトも、なんの思いも、地元への愛もなく、ドーンとお金をかけて地域開発したって、そんなのは結局意味がない。
それよりも、知恵を出して、お金をかけずに地元の人を巻き込んで、手づくりみたいな感じでつくっていったのが大成功だったんです。
背水の陣になると人間ってスゴイ力を出すんだな、と感じさせてくれる映画です。
その中でも、とっても好きなシーンがあります。
蒼井優が演じる主人公のダンサーのお母さん役、富司純子のシーン。
ハワイアンセンターをつくるというとき、推進派と反対派に完全に分断されちゃうんです。
富司純子が演じる蒼井優のお母さんは反対派。
すごく厳しいお母さんなんですね。
ご主人を炭坑の事故で亡くして、女手一つで豊川悦司と蒼井優の兄妹を育ててきた人なんです。
選炭場(せんたんば)という掘り上げた石炭が積まれているところで、使える石炭と石を分ける仕事をしている。
「そんなチャラチャラしたハワイで、なんでおまえが、人様から笑われて、半分裸になって踊らなきゃいけないんだ。仕事っつうのは命がけで暗闇でやるものなんだ」
という信念を持っている人です。
ご主人がそういう人だった。
蒼井優が「ダンサーになりたい」って言ったら、お母さんにものすごく怒られて、殴られて、家から出されちゃうの。
それで稽古場に布団を持って行って寝泊まりしているくらいです。
でも、最初は反対していたお母さんが、彼女たちが一所懸命頑張っているのを見ているうちに心が変わってくるんです。
それがすごくいいシーンで、個人的にはこの場面が一番好きです。
そして、「これって、現代のビジネスに携わっている人にとって、重要なことなんじゃないか?」そう思ったんです。
それはどういうことかというと・・・
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