普段会話している程度の会話をマイクロホンで拾って得られる信号電圧は大変微弱なものです。これをミキサー内部で処理するために増幅度を可変できる専用アンプを利用します。
このアンプは、ミキサーの最初につなぐことからヘッドアンプ(HA)と呼ばれます。
ヘッドアンプには、トリムと呼ばれるボリュームつまみがついており、このトリムボリュームで増幅度を増やすことで、微弱なマイクロホンの信号をノイズの少ないクリアな音として扱うことができます。
しかし、この設定でドラムなどの大きい音を、音源に近い位置で収音すると、音が歪む場合があります。この場合は、トリムボリュームで増幅度を下げる調整が必要となります。
マイクロホンには種類、方式が様々にあり、同じ音でも信号に変える変換率(感度と呼んでいます)が違います。また、音源とマイクロホンの距離によっても得られる信号レベルが変ります。
マイクロホンから得られる信号のノイズが少なく、かつ歪まないトリムボリュームの位置を調整することが、ミキサーを利用する上で最も大事な作業となります。
しかし、ヘッドアンプのトリム調整は、音源があってはじめて調整できる作業なので、リハーサルが出来ないイベントなどでは、このヘッドアンプのトリムボリュームの調整が適切でないために音が小さ過ぎたり、歪んだりといった事態に至る場合があります。
■マイクロホンの方式や種類、形状について
マイクロホンの方式や種類、形状について補足説明をします。
マイクロホンに加わる空気振動を電気信号に変換する方式として、「ダイナミック型」「コンデンサー型」「リボン型」の3つの方式があります。この他「圧電型」と呼ばれる方式もありますが、一般的には利用されていません。
「ダイナミック型」「リボン型」は、発電型と呼ばれる方式で、そのまま電気信号が発生します。これに対して「コンデンサー型」は電圧の変化を信号として取り出す方式なので、マイクロホンに対して電源を供給する必要があります。
電源を供給する方法としては、マイクロホン自体に電池を組み込む方式とミキサーから供給する方法があります。ミキサーから供給する方法として「ファンタム電源」と呼ばれるスイッチが付いている機種があります。このスイッチに対応したチャンネルにコンデンサーマイクを接続することで、他のマイクロホン同様に扱うことができます。
この音を電気信号に変換する方式の他に、マイクロホンには音を拾う選択性能の種類があります。この選択性能を「指向性」と呼んでいます。
電波を受けるアンテナと同じ「指向性」の事で、この指向性をうまく選択しないと、不要な音を拾ったり、ハウリングの元になってしまいます。この指向性には、無指向性、単一指向性、双指向性、超指向性、このほかに半円球状の指向性を持つタイプと様々な種類があります。
マイクロホンは、この指向性を得るためにその性能にあった形状になっています。例えば、超指向性は正面に対する鋭い選択性を有しています。その姿は「ガンマイク」と呼ばれるように銃のような姿に見えます。また、最近では、接話用に口元にマイクが必ずあるような「ヘッドセット式」も良く利用されるようになりました。
マイクロホンをミキサーに接続する場合、キャノンと呼ばれるコネクターを利用する場合が増えています。これは、マイクロホンから得られる微弱な信号を伝送する際に蛍光灯やモーターから発生する電磁場ノイズをキャンセルする「バランス伝送」と呼ばれる方式で伝送するためのコネクターです。 |