燃料電池は、水素を燃料とするため、水素ガスそのものを供給する場合、新たな燃料供給インフラを整備しなければなりません。また、高圧圧縮されている水素ガスや、極低温の液化水素などは、LPガスのように一般のご家庭では容易に取り扱うことができません。

既存のインフラを利用し、家庭で水素を製造

水素は、天然ガスやナフサなどの化石資源から水蒸気改質法*1、部分酸化法*2、自己熱改質法*3などの方法で製造されています。中でも、天然ガスの水蒸気改質法については、広く実用化された方法で、触媒を充填した反応器の中で、天然ガスと水蒸気を反応させる過程で、水素を取り出すことができます。

家庭用燃料電池では、都市ガス(メタン(CH4))を燃料とし、水蒸気改質法による「改質」により水素を生成する方法を採用し、既存の都市ガス供給のインフラを活用しています。また、必要な所で水素を生成するので、扱いにくい水素を貯蔵、運搬する必要もありません。

但し、水蒸気改質法で水素を取り出す場合、炭素を含んだ化石資源からの改質であるため、二酸化炭素(CO2)や一酸化炭素(CO)が発生します。
一酸化炭素(CO)は燃料電池の化学反応に悪影響があるため、水を加えた変性反応や、酸素を加える酸化反応などで、二酸化炭素(CO2)に変えたり、触媒へ吸着させる機構(設備)が必要になります。

燃料処理器のしくみと役割

燃料処理器のしくみ

燃料処理器は、燃料改質部と、CO変性部、CO浄化部からなるCO処理部で構成されており、都市ガス中のメタンと水蒸気を反応させ、水素を生成する役割を担っています。

燃料改質部の役割

燃料改質部では、水素の製造をおこないます。
燃料である都市ガス(メタン)と水(水蒸気)の改質反応を起こさせるため、バーナーにより、反応が起こる温度に安定させます。都市ガス(メタン)が供給され、水(水蒸気)と混ざり合うことで改質反応が起こり、水素と二酸化炭素や一酸化炭素を生成します。

1.燃料改質部でメタンから水素を

CH4 + 2H2O → 4H2 + CO2
CH4 + H2O → 3H2 + CO(約10〜15%)

CO変成部の役割

CO変成部では、改質反応で発生した一酸化炭素と水(水蒸気)によるCO変成反応で二酸化炭素と水素を生成します。

2.改質で発生した一酸化炭素を変性

CO + H2O → H2 + CO2(CO:0.5%に低減)

CO浄化部の役割

CO浄化部では、改質によって発生する一酸化炭素を除去します。
残された一酸化炭素に酸素を加え、酸化させることで二酸化炭素へ変化させ、一酸化炭素を取り除きます。

3.浄化部で一酸化炭素を酸化

CO + 1/2O2 → CO2(CO:10ppm以下に低減)

このように、家庭用燃料電池では、都市ガスやLPガスなどの既存の燃料供給インフラをそのまま活用するため、水素を製造する燃料処理器が併設され、家庭へ容易に水素を供給することができるのです。

《 関連情報 》

  1. *1:メタンを原料とし、水蒸気を使用して水素を得る改質方法で、最も一般的に工業化されている水素の製造方法です。
  2. *2:灯油のような炭化水素と空気を反応させて水素を主成分とするガスを製造する改質方法です。
  3. *3:部分酸化による発熱と水蒸気改質による吸熱を制御し、熱の出入をバランスさせながら水素を製造する改質方法です。

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