小林クリエイト株式会社様
納入先
小林クリエイト株式会社様
所在地
本社 愛知県刈谷市小垣江町北高根115
安城工場 愛知県安城市根崎町長配38-1
富士工場 静岡県富士市五貫島310
新規事業の立ち上げと、農業向けICTソリューションが融合
小林クリエイト株式会社様は、コンピュータ用のビジネスフォーム用紙で国内トップシェアを誇る会社です。創業は昭和12年。工業用や医療用記録紙の製造販売からスタートし、現在では、各種帳票やラベル類を主力に、業務ソリューション、コンサルティング、バーコード・RFID、医療関連製品など、さまざまな分野で事業を展開されています。
しかし、主力であるコンピュータ出力用紙や記録紙などの市場環境が厳しさを増す中、新規事業の創出が課題となっていました。そうした中、同社は印刷業務を停止していた遊休工場を活用して、アグリビジネスに参入しました。新規事業立ち上げの中心となって活躍されているアグリ事業部 部長 池田 和広様は、その意図を次のように説明されます。
「世の中の動きとして食と農に大きなスポットが当たっていましたので、我々にも安心・安全な食べ物を提供できないかと考えたのが始まりです。ただし、土を使うことは難しいと考え、遊休工場を活用した水耕栽培の植物工場であれば、我々がこれまで培ってきた、もの作りのノウハウや品質保証の仕組みを活かせると考えました」(池田様)
また、新規事業の立ち上げとほぼ同時期に、同社の別部門で、農業に関わるプロジェクトが立ち上がっていました。ソリューション企画本部 第一ソリューション企画部 課長代理 松林 和幸様は、次のように説明されます。
「私の部署では、製造業を中心にコンピュータシステムをご提案するビジネスを展開しています。数年前、農業関係団体様を訪問する機会があり、そこでお話を伺っているうちに、工業と同じ手法で農業の生産や物流を管理する時代がやってくると直感しました。そこで、これまで我々が培ってきたノウハウを農業に応用したシステムを企画していたところ、社内で植物工場の新規事業が立ち上がりつつあると聞き、『では、いっしょに』となったのです。まったくの偶然でした」(松林様)
野菜の生育状況を管理・閲覧する端末としてTOUGHBOOKを導入
現在、同社の植物工場は2カ所で稼働しています。まず、2011年6月に愛知県の安城工場にテストプラントを作り、野菜の水耕栽培を開始しました。同工場では、現在「ツブリナ」と呼ばれる機能性野菜※を栽培し、地元を中心としたスーパー等に出荷しています。もう1つの静岡県の富士工場は2013年1月に稼働を開始。現在はグリーンリーフやサラダ菜などのレタス類を栽培し、4月から出荷しています。
安城工場には、同社のソリューション企画本部門が開発した生育管理システム「agis(エイジス)」を導入し、機能を検証しながらシステム改良を行っています。そして、agisのデータ管理・閲覧用に利用されているのが、パナソニックのTOUGHBOOK CF-19です。
また、富士工場では、ひとまわり大型のTOUGHBOOK CF-31が導入されています。
植物工場内は、温度、湿度、水、光が完全にコントロールされ、作業者は防塵服に着替えないと中に入ることはできません。内部には、栄養素を含む水を張った棚が何段も組まれ、そこに発泡スチロールの穴に植えられた野菜が浮かんでいます。そして、野菜の生育はすべてagisによって管理される仕組みです。
「苗を植えたロットに挿してあるRFIDやバーコード付きのタグにハンディターミナルをかざし、野菜の種類、種をまいた日時などを読み取った後、生育状況などを入力します。データは無線LANを通じてTOUGHBOOK上のシステムに自動入力されます。
現場でメモを取り、それを事務所に戻ってからパソコンで入力する従来の作業に比べると、作業は圧倒的に効率的で、間違いもありません。植物工場だけでなく、ハウス栽培や露地栽培などにも利用できるシステムとして開発しています」(松林様)
※機能性野菜:本来はあまり含まない成分(主に健康によい成分)を高含有にした野菜。
現場に近い高温多湿な環境では、タフな端末が不可欠
クリーンな環境が維持されている野菜工場ですが、コンピュータにとっては過酷な環境です。じつは、TOUGHBOOK導入前は、一般的なノートPCを利用していたと、ソリューション企画本部 第一ソリューション企画部 課長の高取奨様は説明されます。
「壊れたら買い換えればよいと考えて、低価格なノートPCを利用していたのですが、すぐ壊れました。高温多湿な環境なので心配していたのですが、案の定という感じでした。壊れたら数日間はパソコンのない状態での作業を強いられ、とても困りました。しかし、TOUGHBOOKにしてからは、その心配はまったくありません」(高取様)
現在、工場内にはハンディターミナルだけを持ち込み、TOUGHBOOKは植物工場の出入り口のエリアに設置されています。
高取様は、現場に近い場所に端末があることが非常に重要だとおっしゃいます。
「現場の作業を効率化するには、導線が重要です。つまり、できるだけ移動を減らす必要があるのです。そのためには、端末は作業者に近いところにないと困ります。また、工場内に持ち込んで利用する際、水にぬれたり、落としたりしても、簡単には壊れない端末が必要なのです」(高取様)
また同社では、より軽い端末として頑丈タブレットのTOUGHPADを導入し、TOUGHBOOKと組み合わせて活用することも検討されています。TOUGHPADであれば、工場内にも手軽に持ち込むことができ、データをその場で確認できます。さらに、必要であれば社外に持ち出すことも容易なので、より機動的な使い方が可能になると期待されています。
10年先を見据えたビジョンのもと、アグリビジネスを一歩一歩展開
順調に進展している小林クリエイト様のアグリビジネスですが、池田様は「いまは、まだ始まりにすぎない」と強調されます。
「我々は10年ほどのスパンでビジョンを描いています。植物工場はきっかけにすぎません。まずは、植物工場を軌道に乗せ、agisも含めたプラント・栽培ノウハウの販売、海外展開、医薬品や機能性食品の開発、農業を通じた障害者や高齢者の雇用など、医療、福祉、地域と連携したアグリ事業を展開したいと考えています。どこまで実現できるかはわかりませんが、一歩一歩、着実に進んでいきたいですね」(池田様)
折しも、日本のTPP参加を機に、日本の農業は大きな転換期にさしかかっています。小林クリエイト様が描くアグリビジネスのビジョンの実現に向けて、TOUGHBOOKとTOUGHPADが重要な役割を担うことになるでしょう。