今年に入り、ヨーロッパではVARICAMで撮影した長編映画および短編映画のフィルム上映が次々に開始されている。
まず、フランスでは初めてVARICAMで撮影が行われた大作映画「Les Gens Honnetes vivent en France」が注目を集めた。また、イタリアでは短編映画「Surface」がゴールデングローブ賞にノミネートされるとともに、ドイツでは、映画「タンゴ」によって、VARICAMで撮影されたタンゴの魅力が大きなスクリーンに登場することとなった。
フランス:Les Gens Honnetes vivent en France 今年末に公開予定のフランス映画「Les Gens Honnetes vivent en France」は、メインキャストにVictoria Abril氏、Helene de Fougerolles氏、Bruno Putzulu氏を迎え、Bob Decout監督、Jose Gerel撮影監督によるブラック・コメディ。
同作品は、VARICAMで撮影された初めての長編欧州映画で、クリスマス時期の映画公開に向けてフィルム変換される予定となっている。
撮影は南アメリカのコロンビアで6週間、さらに数週間パリのスタジオとソルボンヌ周辺で行われた。編集は今夏、Digimageで行われた。
Jose Gerel氏:とにかくHDで撮影したかったんだ。映像も質感も良質だし、なにより場面転換が多くペースの速いBob Decout氏の作品にはHDがぴったりなんだよ。35ミリと比べてコスト的にも優れていたしね。
ここ2、3年HDで撮影しているけれど、HDの質感が気に入っている。HDカメラの時代になって、映画制作関係者が多くのチャンスを得ることができたし、大きく前進したと思う。フィルム専門だ、HD専門だ、なんてことを言わなくても、どちらのメディアでも撮影カメラマンの仕事はできる。ただし、HDでは撮影からタイミング処理までプランを立て、最終的にフィルム変換することもあらかじめ考えて撮影することが大事なんだ。そこが大きく違う。
VARICAMでの撮影は、ハンディ、ステディカム、台車、クレーンなど様々な手法を用いて行われた。
Jose Gerel氏:状況に応じて撮影しなければならないからちょっと大変だった。本当にキツいときもあったけれど、コロンビアの撮影クルーがどんなトラブルにも辛抱強く対処してくれたおかげだと心から思っているよ。
実際にVARICAMで撮影してみて、メニューがよく考え抜かれていて直感的に使えるので、非常に簡単に操作できる。ディティールのレベル、信号を最適化してくれるダイナミックレベル、スピード、ガンマレンジ、の4つも見逃せない機能だ。また、白トビしにくいのもとても便利だね。
Jose Gerel氏は、パリのBTSオーディオヴィジュアル映画学校の講師も務める。
Jose Gerel氏:その視点から見たHDとフィルム撮影については、今がまさに何もかもが変わろうとしている時期だと思っている。映像のツールを選べる時代になったけれど、それぞれに良さがあるので、一方が一方に取って代わることはないと思う。お互いに補い合いつつ共存していくんだと思うよ。