AG-HVX200活用事例

“P2 カードはとても強靱なプロダクト”映画「炬燵猫」

 2007 年に公開予定の劇場用映画「炬燵猫」は、DVCPRO HD P2 カメラレコーダー「P2handheld AG-HVX200」で撮影されている。これは新進気鋭の映像クリエイターや脚本家、俳優などを発掘・育成する「ccbb」の映像制作プロジェクトの1 つで、男子中学生と、その飼い猫の2つの初恋を描いたラブストーリー。監督・編集は映画デビュー作となる小川王子氏。脚本はゼロ役で出演もこなす弱冠21歳のセレナ。撮影は高間賢治氏(J.S.C)が務めている。企画・製作は、SALAMANDRA PICTURES+OFFICE SAITA。

 撮影は、「AG-HVX200」×1 台に4GB と8GB のP2 カード計8枚を併用し、720/24p フォーマットで収録され、ハイスピード撮影も行われた。収録データの破損・紛失などに備え、PowerBook G4 上のFinal Cut Pro 5 への取り込みを含め、3 つのHDD で厳重なバックアップ体制を採った。小川監督自身がPowerBook G4 上のFinal Cut Pro 5 でオフライン編集を行った後、映像通信で白完パケとしてHD フォーマットのテープに変換。その後、ビデオフォーカスのAvid DS でオンライン編集とMA 作業を行い、HD マスターを作成。今後、劇場公開および映画祭出品向けにフィルムレコーディングし、35mm フィルム原版を制作する予定。

 小川王子監督:「炬燵猫」では、機動性良く効率的に撮影することを前提に、撮影監督の高間さんと撮影プランを練りました。高間さんから提案があったこともあり、また僕自身興味を持っていたので「AG-HVX200」を使用することにしました。特に、この「炬燵猫」では、“ 瞬間を引き延ばした表現” が重要なシーンを担っているため、スローモーションを撮ることができる点は決め手になりました。しかも、ハイスピード撮影を即座に現場でそのままプレビューできるという機能は大きかった。

「AG-HVX200」は、ミニDV サイズのコンパクトな筐体でありながら、HD クオリティを持ち、なおかつハイスピード撮影できるという大きなメリットを持っていると言えます。それから、P2 カードというフィルムでもテープでもない初めて触れる、いわば扱い慣れていないメディアに対して、最初は収録データが消えてしまわないだろうかといった心配もいろいろありました。ですが、実際に扱ってみると、P2 カードはとても「強靱なプロダクト」ということが実感でき、そんな不安は吹き飛んでしまいました。テープは熱などに弱い部分がありますから。ここ数年、デジタル化の進展などで映像制作環境は大きく変わり、特にミニDV フォーマットの撮影~編集システムによって映像制作はより身近になりました。ビデオを中心に活動してきた僕にとって、「AG-HVX200」はそこで培ってきたノウハウやスキルをそのまま活かしながら、さらにハイクオリティな表現ができるという点で、まさに“ ちょうど良いカメラ” というのが実感です。