AG-HVX200活用事例

“ 演出ビジョンに向けて集中できる新しい技術”ミュージックビデオ「ORANGE RANGE / UN ROCK STAR」

 高い人気の沖縄発ミクスチャーバンド・ORANGE RANGE(ソニー・ミュージックエンタテインメント)の楽曲「UN ROCK STAR」(2006 年8 月30 日/限定発売)のミュージックビデオはDVCPROHD P2 カメラレコーダー「P2handheld AG-HVX200」を撮影で活用している。制作プロダクションはP.I.C.S.、ディレクターは上原桂氏と志賀匠氏。

 ミュージックビデオには四角い黒い箱をかぶった様々な人たちが登場する。その「体」は一見してORANGE RANGE のメンバーではないことが分かる。そして、その四角い箱にORANGE RANGE の面々の「顔」が表情豊かに写し出されるなど、楽曲の持つ本質と通じるユニークな演出が施されている。「AG-HVX200」は、このメンバーの「顔」部分の撮影で活用されており、ベースとなる「体」部分の映像はVARICAM で撮影が行われている。カメラマンは吉田好伸氏、VE は小橋孝博氏がそれぞれ務めた。

 作業フローは、「顔」部分をP2 HD(1080/30p)で収録後、データをHDD に移管、OK/NG テイクを選択し、ヒューマックスシネマHAC スタジオのFinalCutPro に。一方、VARICAM(720/30p)で収録した「体」部分は、Avid でオフライン編集(SD サイズ)し、EDL データをヒューマックスシネマHAC スタジオのFinalCutPro に。「顔」と「体」のデータをコンポジット作業用のWindows PC に移行し、カメラワークのほかマスク素材やCG などを含め、Affter Effects で合成・カラコレ作業を行った。TIFF 連番ファイルの形式で書き出し、IMAGICA 永田町スタジオのDiscreet Smoke でコンパイルした。

 プロデュースワークを手がけたP.I.C.S. の岩佐和彦氏:企画主旨として、ORANGE RANGE メンバーの「顔」と、メンバーとはかけ離れた印象を与える際だつ体型の「体」を別撮りして組み合わせる、ということがありました。正面の顔だけでなく、側面まで別撮りしてはめ替えているのは珍しいと思います。アクションも激しいシーンが多いため、マスク切りやCG 制作、トラッキングなどを含め、すべてを合成していく作業はかなり大変でした。見た目以上に“ 人の手” が入っている作品です。

 メンバーの「顔」部分のカメラワークは編集段階で演出したもの。そのため、元となる映像にはある程度の大きなサイズが求められた。その点「AG-HVX200」はHD サイズで撮影でき、合成作業についても、絵のヌケが良いので適している。また、スケジュールがタイトだったため、P2 カードでの収録には大きな利点を感じました。撮影後ただちにApple Power Book などに収録データを移管することができ、すぐに作業に取りかかることが出来る。とくに、PC 上で編集から合成など、オンエアフォーマットの前段階まですべてを創り上げるスタイルを持つディレクターには、とても利便性が高いと言えます。ただ、テープでもフィルムでもなく、収録はデータということもあり、これまでの映像制作における「感覚」とは異なる部分があるのも確か。バックアップや綿密な管理体制が大前提であり注意点です。

 プロデューサーの観点から言えば、P2 システムをはじめとする新しい技術の便利さをキチンと理解することで、それを最大限活用することができ、コストダウンも実現できる。それも、クオリティの追求という面を保持したままで。そのことによって、ディレクターが「こうしたい」という演出ビジョンに集中できる環境を形成できるのが、大きなメリットだと思っています。