AG-HPX555活用事例

スケジュール・コストの“圧縮”だけでなくドラマ制作の演出に適した映像

株式会社 ザ・ワークス 「ケータイ少女 ~恋の課外授業~」
「ケータイ少女 ~恋の課外授業~」
 テレビ番組制作会社のザ・ワークスは、2007年10月から放送を開始したドラマ「ケータイ少女 ~恋の課外授業~」において、メモリーカード・カメラレコーダー“P2cam”「AG-HPX555」を活用した番組制作を行っている。

 番組は、シリーズ累計50万ダウンロードを超える人気携帯アプリケーションゲーム「ケータイ少女」をモチーフにした実写版の連続TVドラマで、30分×全12話で構成する。ザ・ワークスのソフト事業部では、番組などコンテンツの企画・営業を担っており、「ケータイ少女 ~恋の課外授業~」もその1つ。地上波では西日本放送/テレビ埼玉/とちぎテレビ/千葉テレビ/あいテレビ/北海道放送/群馬テレビ(オンエア開始日順)など、CS放送ではファミリー劇場で放送している。

 テープレス収録による番組制作は、これまでメモリーカード・カメラレコーダー“P2handheld”「AG-HVX200」を使用した単発ドラマがあったものの、連続ドラマでのテープレス収録は今回の「AG-HPX555」が初めてという。AG-HPX555で撮影した素材は、P2カード「AJ-P2C008HG」(8GB)×4枚と「AJ-P2C016RG」(16GB)×4枚に収録。P2カードのデータは、撮影現場においてメモリーカード・ポータブルレコーダー“P2gear”「AG-HPG10」からHDDに順次コピーし、その素材は撮影終了後に社内のPCに転送し、撮影翌朝からFinal Cut Proで編集作業を行う。

 「AG-HPX555」を活用したテープレスのワークフローは、単にスケジュールの短縮だけでなく制作コストの削減にも貢献したほか、レンズ交換が出来るため作り込んだ画が撮影できた。特に被写界深度の浅い映像が撮影できることでドラマ映像の演出に適した制作が行えたという。

ザ・ワークス ソフト事業部 山守文雄氏
(番組ではコンテンツ・プロデューサーを担当)

 ■「ケータイ少女 ~恋の課外授業~」は放送局発注の番組ではなく、ザ・ワークスが製作委員会を組織して制作しているドラマ番組です。自社の制作であるため、撮影から編集までのシステム全てを選定し、クオリティを保持しながらコスト削減に努めることが求められています。撮影システムとしてメモリーカード・カメラレコーダー“P2 cam”を採用するにあたり、当初は「テープ代が浮く」程度の認識でしたが、進行するにつれ様々なメリットを実感することができました。

 ■まずは画質面です。2/3インチCCDの採用による高画質・高感度、放送用・業務用の2/3型ズームレンズが使用できるのは大きな魅力。被写界深度の浅い撮影ができることで、ビデオ特有のパキッとした画ではなく、綺麗な“ボケ足”を出すことも可能で、ドラマ制作に合ったカメラであると考えています。

 ■撮影データのやり取りについても、テープレスのメリットを感じました。撮影を終了して帰社すると直ちに社内のPCに撮影データを転送し、その場で編集作業に着手することが可能です。テープ収録ではポストプロダクションなどにデジタイズを依頼することになりますが、素材の持ち込みからデータの受け取りまで、これまでは数日間を要していました。日数だけでなく、やり取りに必要な人件費までもが削減できるわけです。また、撮りこぼしやNGカットがあった場合、撮り直しの指示をすぐに行うことも可能です。さらに編集作業についても、あまりにもアッサリと問題なく進行することができました。

 ■掲載した撮影現場の写真を見ていただければわかるように、役者たちは頻繁にVチェックをしていました。ほかの演者やシーンとのつながりをチェックしたり、自分の演技を改めて見てみたりと、巻き戻しも必要なく、すぐに再生できることで、演技自体も徐々に巧くなっていったのではないかと感じています。撮影現場で画をチェックできるメリットは技術的側面で語られることが多いですが、こんな側面があることも面白く感じる点だったと思います。次の企画でも是非、「AG-HPX555」を使いたいと思っています。

撮影風景