AG-HPX555活用事例

進化を遂げた「オトナのカメラ」に単焦点レンズを使い画質を追求

映画「いつも二人」 撮影監督:長田勇市氏

 愛川欽也監督作品「いつも二人」(企画・製作:愛川企画室)は、全編メモリーカード・カメラレコーダー“P2 cam”「AG-HPX555」で撮影されている。

 撮影監督は、長田勇市氏(J.S.C.)。長田氏はこれまで、ネットムービー「探偵事務所5」シリーズやVPなどでAG-HVX200によるP2システムでの撮影を多数手がけており、2008年公開の「漫画探偵539」(監督:手塚眞)では「AG-HPX555」とAG-HVX200を併用した収録を行っている。また、数々の国際映画祭に入賞している短編映画「不老長寿」(監督:オガタ・アツシ)でも撮影監督を務めており、全編AG-HVX200を使用している。

 映画「いつも二人」は、愛川欽也が34年前に撮影した第1回監督作品「さよならモロッコ」、そして2007年完成の第2回監督作品「黄昏れて、初恋」に続く新作。P2カードは16GB×5枚体制で、撮影は1080/24pフォーマット(一部720/60pでハイスピード収録も)。撮影部付でデータ管理専任スタッフを配置するなど、バックアップなどについて万全を期すとともに、モニタリングでは光回線を活用したシステムを一部採用し、撮影進行の効率化を図った。

 収録データは、IMAGICAでカラーコレクションおよび編集作業を経た後、レーザーキネコで上映用フィルムを作成する予定。HD原版によって、DLP上映にも対応していく。

撮影監督を務めた長田勇市氏(J.S.C.)

 ■愛川監督の映画作品「いつも二人」では、「AG-HPX555」に単玉レンズを使用して撮影を行いました。ズームレンズと比較すると、飛躍的に映像が「映画」になった実感がありました。P2カードで収録でき、なおかつシネレンズを装着できるというのは大きな利点。また、細かなパラメーター設定が可能となったことで、様々な条件下での撮影にも対応しやすくなった。特にグループショットの映像はとても良いと感じました。

 ■加えて、単玉レンズを使用したことで、助手の育成という観点からもメリットがあると思いました。P2システムという最先端の技術を活用しつつ、スケールで距離を測り、撮影するというフィルム撮影の伝統を会得できる。ズームレンズは確かに利便性が高いですが、フォーカスマンを育てるということでいえば不向きなところがありますから。

 ■P2カードによる撮影は、作業フローやコストといったことも含め、日本映画市場にとてもマッチしたシステム。特にAG-HPX555は、そのクオリティと価格のバランスが高く評価できるのでは。さらに、2007年11月リリースの、新しいP2カード(32GB)によって、カード1枚の収録時間がHD収録(1080/60i)で約32分可能となるため、ドラマ分野だけでなく、ドキュメンタリーの制作にも活用しやすいものになっていると思います。

 ■これまで、AG-DVX100、AG-DVX100A、AG-DVX100B、AG-HVX200、そしてAG-HPX555と様々な作品でPanasonicのカメラレコーダーを活用してきました。その経験から言えばAG-HPX555は、VARICAMの廉価版という位置付けというよりも、DVX100→HVX200の流れを汲む最も新しい最上位機種という捉え方が相応しいと感じます。その意味でAG-HPX555は、成長をずっと見守ってきた子供が“オトナ”になったような感覚があります。キチンとプロの要望に応えうるカメラになった。そして、周辺環境などの整備も含め、今後もその進化が続き、より一層オトナになった次世代機の登場に期待しています。

撮影風景