映像取材から制作のフォーマットとしてDVCPRO HDを採用

株式会社 テレビ西日本 様

2006年度はカメラレコーダーにAJ-HDX900、VTRとしてAJ-HD1700およびAJ-HD1400など計24台のDVCPRO HDを導入。当初2008年度までの3ヶ年計画を前倒しして、2007年度内にHD化を完了させる予定となっている。
写真は、左上:ノンリニアの第1編集室、左下:ノンリニアの第2編集室。中上:第1スタジオサブのAJ-HD1700、中下:第1録音室のAJ-HD1700。右上:第1スタジオサブ、右中:第1録音室、中下:ハイブリッド編集室の第2編集室。

株式会社テレビ西日本様は、映像取材から制作のフォーマットとしてDVCPRO HDを採用した。2006年度には、映像取材および制作用途のカメラレコーダーとしてAJ-HDX900を導入したほか、VTRは制作技術部を中心にHD化を図り、大型中継車内や第1スタジオサブ、編集室、マスター室等にAJ-HD1700、AJ-HD1400を導入。カメラレコーダー、VTRをあわせ計24台のDVCPRO HDを導入した。さらに、当初2008年度までの3ヶ年だったHD化計画を前倒しして、2007年度には映像取材部を中心としたHD化を行う予定となっており、AJ-HDX400、AJ-HD1700、AJ-HD1400など、2006年度と同規模の導入を行う。技術局 制作技術部長の里村栄治氏は「当社ではSDの時代から、特にニュースでの主力フォーマットはDVCPROであり、その流れを引き継ぐ形でDVCPRO HDの採用となりました」と語っている。


左上:制作技術部のAJ-HDX900、中上:映像取材部のAJ-HDX400、右上:大型中継車内のAJ-HD1700、下:報道向けリニア編集室全景(左)と同室のAJ-HD1700(右)

2006年度は制作技術部を中心にHD化
同社では、2006年7月1日からの地上デジタル放送の開始に向けHD対応を開始。2006年度には、カメラレコーダーAJ-HDX900を映像取材および制作用途として導入したほか、VTRは制作技術部を中心にHD化を図った。
VTRは大型中継車にAJ-HD1700を搭載したほか、2007年度には、SNG II型中継車にAJ-HD1400を導入する。スタジオサブでは、第1スタジオサブに次いで、2007年度に第2スタジオサブにもAJ-HD1700を設置する。さらに、編集室・録音室用途としてAJ-HD1700とAJ-HD1400を導入。2006年度はカメラレコーダー、VTRをあわせ計24台のDVCPRO HDを導入した。
制作技術部の編集室は、オンライン編集室が3室、オフライン編集システムがCanopus×10セットで構成。オンライン編集室は3室ともリニア編集システムにCanopusを加えたハイブリッド運用で、第2編集室にはエフェクトシステムとしてDiscreet Smokeを加えている。
編集室の構成について技術局 制作技術部長 里村栄治氏は「制作部門においては、ノンリニア編集の比重を高めました。リニア編集室ではどうしてもコストが大きくなってしまうことが最大の理由です。オフライン編集分野でノンリニア編集が拡大していることも、大きな理由の1つになっていると思います。DVCPRO HDはコスト面においてもメリットがありました」という。

導入計画を前倒し、2007年度は映像取材部のHD化を加速
同社では、当初2008年度までの3ヶ年だったHD化計画を前倒しして、2007年度には映像取材部のHD化を加速する。映像取材部は、報道用途としてカメラレコーダーAJ-HDX400を本社のほか支局にも配備するほか、2007年12月にニュースサブを更新するのにあわせてニュース用編集室のHD化を図っていくことにしており、DVCPRO HDの導入は2006年度と同規模になる予定。
技術局 制作技術部長・里村栄治氏
里村氏は「制作技術部のHD化を先行したのは、映像取材部(報道)と比較して素材の共有が少なく、移行がスムーズだと考えたからです。今後、ニュースサブの更新に向けて、映像取材部のHD化を図っていきますが、編集室は、制作部門でノンリニアの比重が高いのに対し、報道ではリニア/ノンリニアが半々になるのではないかと考えています。HD化は2008年度までの当初3ヶ年計画を前倒しして実施するものですが、ニュースサブ更新で、局内のHD化もほぼ完結すると考えています」としている。

HD化への移行はDVCPRO HDの採用が合理的と判断
DVCPRO HDの採用について里村氏は「HD化に限らずデジタル化への投資は、ローカル局にとって非常に大きな問題です。SDの時代から、特にニュース分野では主力フォーマットがDVCPROであったことや、コストパフォーマンスを評価してDVCPRO HDを採用することになりました。運用面やコスト面をトータルで考慮すると、HD化への移行はDVCPRO HDが最も合理的だという判断です」とする。
「2006年度のHD化により、自社制作の約30%がHD制作に移行しましたが、まだまだその比率は少ないと考えています。2007年度は夏までに徐々にHD制作を増やし、年末のニュースサブのHD化で一挙に拡大していく計画です。報道では収録する素材の量も格段に増えるうえ、素材共有のケースも増加してきます。HD制作の拡大でさまざまな課題が出てくると考えていますが、柔軟に対応していきたいと思っています」(里村氏)。