P2HD リアルワークフロー(取材/編集/送出/アーカイブ)をMXF で実現

株式会社 宮崎放送 様

報道系のHD 化に向け導入した取材カメラAJ-HPX2100 × 3 式(左上)と“P2deck”AJ-HPS1500により送出が行われている制作サブ(右上)。ニュースサブにも設置。
下段は左から“P2drive”AJ-PCD20 を実装したノンリニア編集室、ノンリニア編集のほかP2 アーカイブの素材登録・検索などが行える記者用端末、従来のテープベースからP2 にフォーマット変換するダビングシステム


株式会社宮崎放送
株式会社宮崎放送様は、P2HD を活用した放送システムの本格運用を2007 年9 月から開始した。同社では3 年計画で報道制作分野におけるHD 化を進めており、2006 年の制作系に続き、2007 年は報道系において“P2cam”AJ-HPX2100 × 3 式を導入。P2 送出システムデッキ、P2 アーカイブシステム、P2 カードおよびP2カードIC タグ管理システムのほか、P2 対応ノンリニア編集システム8 チェーンなどを導入。取材/編集/送出/アーカイブのトータルをP2HD ファイルで一貫したシステム構築をし、P2HD リアルワークフローを全国に先駆けて実現した。
同社では、P2HD 採用のメリットとして、ノンリニア編集におけるデジタイズレスによる編集作業の効率化など、取材から編集、サブ出しのトータル作業時間の短縮と、導入コスト・ランニングコストの削減の実現などを挙げている。
制作映像部主任の岩元和也氏は「スムーズなテープレス化への移行を見据えて、素材の受け渡しをP2 カードで行うほか、取材の対象や用途に応じてP2HD と既存VTR を使い分けるなど、ローカル局にとって使い勝手の良い運用体制を構築しました」と話している。

常務取締役報道制作局長
橋口義春氏
総合的なメディアの将来展望を見据えたP2HD の導入
常務取締役報道制作局長の橋口義春氏は「当社は、全国でもいち早くENG システムを導入した歴史があり、全く新しいハードであるP2HD も比較的抵抗なく導入できました。
コンテンツ制作の流れに劇的な変化をもたらしたENG と同様、P2HD にはコンテンツ制作への“新しい可能性”に期待しています。今回のP2HD導入は、デジタル放送時代におけるローカル局の、自社制作比率の向上、より広いエリアを見据えたコンテンツ制作、パッケージ&ライブでのコンテンツ確保、Web との連動など、総合的なメディアの将来展望を見据えたものです」と話している。
(左から)報道制作局制作映像部の小畑貴嗣氏、山田裕隆氏、岩元和也氏

3年計画で制作・報道系をHD化
同社では、報道制作分野における取材・編集設備のHD 化を3 ヶ年計画で進めている。制作系については2006 年にDVCPROHD カメラレコーダーAJ-HDX400 × 2 式、AJ-HDX400A× 2 式とともに、ノンリニア編集システム× 8 チェーンを導入し、HD 化を完了している。2007 年は報道系をHD 化するべく、3 月に“P2cam”AJ-HPX2100× 3 式、4 月にP2 アーカイブシステム、7 月に報道・制作分野におけるノンリニア編集室、8 月に“P2deck”AJ-HPS1500 や送出IF による制作・ニュースサブのP2 送出システムおよびP2 カードIC タグ管理システムの整備を行い、9 月からP2HD による放送システムの本格運用を開始した。
また、3 報道支局( 延岡、都城、日南) に“P2cam”AG-HPX555と“P2gear”AG-HPG10 を各1 台整備するほか、IP 伝送システム等を導入する。2008 年度は本社・報道系の“P2cam”をさらに3 台拡充し、HD 化への移行を完了させる計画だ。
報道制作局制作映像部副部長の小畑貴嗣氏は「9 月から、夕方のニュースのワイド番組『MRT イブニングニュース』やショートニュースでP2HD によるトータルワークフローでの送出・運用を始めています。今のところ手探りの状態ながら問題なく運行できています。テープからP2 への移行は、運用するスタッフからすると全く別物でしたが、切り替えもスムーズにでき、運用自体はうまくいっていると思っています」とする。

膨大なP2カードを一元管理する「P2カードICタグ管理システム」
ローカル局の運用に適したワークフロー
同社のワークフローの大きな特徴として、同社規模のローカル局における運用に適した体制の構築がある。制作映像部主任の岩元和也氏は「取材~編集~送出間における素材のやりとりを、ネットワークによるファイル伝送ではなく、P2 カードを用いたスタイルを採用しています。従来のテープ感覚を残しながら運用することで、将来の全面テープレス化にスムーズに移行できるのではないかと思っています」としている。
制作映像部主任の山田裕隆氏は「取材に関しては時間や収録後の用途などによって、カメラをP2HD とテープを使い分けています。当面は、長回しや素材自体を保存するものはテープベースで、保存が不要で当日のオンエアだけで済む素材についてはP2HD での運用を行います。今後、32GB のP2 カードが登場し、カードの枚数も増加することで、P2HD による取材が多くなっていくと思います」とする。
現在、AJ-P2C008HG(8GB) × 40 枚、AJ-P2C016RG(16GB)× 30 枚のP2 カードを有しており、12 月にはAJ-P2C032RG(32GB)× 30 枚を追加導入する。
新たに導入したP2 カードIC タグ管理システムは、こうした大量のP2 カードを管理するため、全てのP2 カードをIC タグで管理するもの。各カードの運用状態(取材中、編集中、送出中など)が一目で把握できるシステムとなっている。

編集→サブ送出はP2 カード/アーカイブの素材登録・検索はネットワークで
報道分野におけるノンリニア編集システムは8 チェーンを整備。このうち1 チェーンはHD-SDI によるベースバンド入出力対応システムとなっている。P2HD およびDVCPRO HD で取材した素材については、カノープス社製P2 対応のノンリニア編集システムREXCEED によりオンエア用素材を作成し、P2 カードに記録する。一方、1/2 インチテープ素材は、リニア編集システム× 4 チェーンによるオンエア素材を作成した後、P2 カードにダビングを行う。これらのP2 カードを制作サブ、ニュースサブに2 台ずつ設置したP2 送出システムに挿入し、送出を行うことで、サーバー送出と比較して大幅なコスト削減を可能とした。
オンエア素材が蓄積されるP2 アーカイブは、ハードディスクおよびLTO ベースで構成されており、ギガビットイーサでネットワーク化した各ノンリニア編集システムから素材の登録や検索、引き出しが可能となっている。