納入リポート【日本/奈良テレビ放送】



取材に用いられているP2HDカメラレコーダー、左からAG-HPX175、AJ-HPX2100、AG-HPX555

取材からアーカイブまで、報道系をテープレスHD化。
ハウスフォーマットにP2HDを全面採用。

独立UHF局の奈良テレビ放送は2009年9月、報道系のハウスフォーマットにP2HDを採用し、取材からアーカイブまでの工程をテープレス化しました。同社は2005年の新社屋移転時にマスターと制作系システムをHD化。今年に入って報道系のHD化に取り組み、9月7日に全編HD放送を実現しています。
同社では2009年4月からのニュースのワイド化に伴い「ニュース取材および編集設備のHD対応」を実施するため、設備の段階整備を3月から進めました。第1段階で、編集設備を先行してHD対応ノンリニアシステムに更新、9月にはDVCAMをベースにしていた報道取材システムのHD化を図るべく、P2HDカメラレコーダー(P2カム、P2ハンドヘルド)とP2HDメモリーレコーダー(P2デッキ)を導入しました。
2010年度内には、第3段階となるニュース専用スタジオのHD化(L2スタジオ)を予定しており、「段階的な更新で投資負担を分散させる」(同社)計画を立てています。
導入したP2HDシリーズは、取材カメラ用としてショルダータイプのAJ-HPX2100とAJ-HPX555を各2式、小型タイプのAJ-HPX175を3式、AVCHDフォーマットの小型カメラAJ-HMC155を1式。送出用のP2デッキAJ-HPS1500をL1およびL2に各2式。またダビング用にAJ-HPM110を1式、AG-HPG20を2式。編集用にAJ-PCD35を7式とAJ-PCD20を4式設置しています。

■運用コストと信頼性・実績からP2HDを選定
P2HDに決定した理由について次の5点を挙げています。
(1)モーターなどの駆動機器が一切ないため高信頼性が期待できる。(2)編集ソフトのエディウス最新バージョンがP2HDに標準対応しているため、編集設備を安価に抑えられる。(3)全世界に相当数の納入数があり、国内でも民放各局に導入されるなど実績がある。(4)「5年間無償機器保証」が標準のため、実質的に5年間はメンテナンス費用が発生しない。(5)低価格でカメラの導入が可能である。
報道制作局報道制作部の中川主税氏は「ファイルベースの導入は、アーカイブを同時に構築できるという副産物があります。規模が小さく設備投資額の制約が多い当社でできるなら、他局でもできると思います」と話しています。
P2カードは、取材用に32G×70枚+64G×10枚。送出用に16G×50枚の計130枚を保有。原則として記者・カメラマン個人での管理の禁止や、カメラ装填後のカードは局舎に戻るまで抜かない、送出に持ち込むのは「ワンカード・ワンクリップ」などの運用ルールが設けられています。
制作系はHDCAMテープフォーマットの使用を継続していますが「身の丈に応じた更新を目指しているため、当面はこのまま」(澤西氏)ということです。