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取材に用いられているP2HDカメラレコーダー、左からAG-HPX175、AJ-HPX2100、AG-HPX555
■BD/HDDを用いた低コストなアーカイブシステム 導入について同社・デジタル事業本部事務局次長兼管理・編成リーダーの澤西雅嗣氏はこう話しています。 「2005年から報道システムのHD化を計画していました。次のハウスフォーマットは運用コストと制作効率の面から、ファイルメディアしかないと考え、メディアコストの低価格化と新型カメラの出荷を待っていました。今回すべてのタイミングがそろったのです。特徴的なことは国内初めての導入となるP2コンテンツ・マネージメント・ソフトウエアによって、P2MXFファイルでブルーレイ・ディスク(以下BD)および外付けUSBハードディスク(以下HDD)に最終保存する低コストなアーカイブシステムを構築したことです。年々市販価格の下がる汎用BDとHDDを使うことで、年を重ねるごとにランニングコストを下げることが可能になります。現在、ひと月のアーカイブメディアコストはBD及びHDDを合わせて3万円程度で、これが毎年下がっていくでしょう。サーバーやLTOのような大規模なシステムを組むことなく、また、編集は自社で安価にシステムアップしましたから、テープレス化移行へのハードルを下げることができたのではないでしょうか」。 アーカイブは、プロキシとメタデータの生成および管理をP2コンテンツ・マネージメント・ソフトウエアで行い、実データをバーコードが付加されたHDDとBDに保存。PC側のバーコード・リーダーで読み取ることで、プロキシとメタデータが一覧表示されます。 編集システムは、P2ドライブとエディウス、インテル・コア・アイ7プロセッサー搭載の自社製PCにより「最速レベルのP2書き出し」(同社)を実現。編集ブースは全14室あり、うち報道編集用は9室、そのうち8室が自社製ノンリニアとなっています。
■運用コストと信頼性・実績からP2HDを選定 P2HDに決定した理由について次の5点を挙げています。 (1)モーターなどの駆動機器が一切ないため高信頼性が期待できる。(2)編集ソフトのエディウス最新バージョンがP2HDに標準対応しているため、編集設備を安価に抑えられる。(3)全世界に相当数の納入数があり、国内でも民放各局に導入されるなど実績がある。(4)「5年間無償機器保証」が標準のため、実質的に5年間はメンテナンス費用が発生しない。(5)低価格でカメラの導入が可能である。 報道制作局報道制作部の中川主税氏は「ファイルベースの導入は、アーカイブを同時に構築できるという副産物があります。規模が小さく設備投資額の制約が多い当社でできるなら、他局でもできると思います」と話しています。 P2カードは、取材用に32G×70枚+64G×10枚。送出用に16G×50枚の計130枚を保有。原則として記者・カメラマン個人での管理の禁止や、カメラ装填後のカードは局舎に戻るまで抜かない、送出に持ち込むのは「ワンカード・ワンクリップ」などの運用ルールが設けられています。 制作系はHDCAMテープフォーマットの使用を継続していますが「身の丈に応じた更新を目指しているため、当面はこのまま」(澤西氏)ということです。