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BS朝日『世界の名画~華麗なる巨匠たち~』の撮影風景(フィレンツェ) カメラマン 原嶋 昇 氏
映像制作および編集業務を展開する(株)ユー・ブイ・エヌ(UVN)では、制作を担当するハイビジョン番組や、自社タイトルで発売するBlu-ray Disc(BD)作品など、2009年下期からの全ての番組、コンテンツにおいて、AVCCAMワークフローを採用しています。 さらに、HDCAMやHDVといったレガシーメディアで収録されている大量の既存テープアーカイブについて、メモリーカードポータブルレコーダー AG-HMR10を変換保存用のコアシステムとして採用し、SDHCメモリーカードへAVCHD記録・保存する新たなアーカイブ構築への取り組みを開始しました。
■小型軽量、テープレスの機動力、フルピクセルの高画質撮影 撮影システムにメモリーカード・カメラレコーダー AG-HMC155を利用した番組として、BS朝日『世界の名画~華麗なる巨匠たち~』(毎週水曜日21:00~21:55/全24回)が2009年10月21日から放送を開始しました。 同番組は、ヨーロッパ絵画史における不朽の名作の数々を、巨匠たちが生きた時代や街、風景、人々とともに描き出す美術番組で、アートと紀行が融合した新しいスタイルで、その映像美をゆったりと堪能することができる作品です。UVNがロケ技術および音楽効果、ポストプロダクションを担当しており、一部のライブラリー映像以外は、すべてAVCCAMで収録されています。 UVN 代表取締役の金森郁東氏は「同番組は9月から海外ロケを開始し、AG-HMC155をメインカメラとして、予備カメラとしてAG-HMC45およびLUMIX DMC-GH1を使用して撮影を行っています。AG-HMC155利用のメリットは、まず1920×1080のフルピクセルで高画質撮影できる点にあると思います。また、1/3インチ16:9プログレッシブCCDの良さも十二分に発揮できており、HDカムコーダー撮影の番組と遜色のない放送ができていると確信しています。 さらに、小型軽量で取り回しの良い撮影とSDHCメモリーカードへの長時間収録、省エネルギー仕様によるバッテリーの長時間化が挙げられます。海外ロケにおいても身軽な撮影が可能となり、非常に有効であると考えています」としています。 『世界の名画~華麗なる巨匠たち~』の海外ロケでは、AG-HMC155の撮影データをノートPCで取り込むと同時に、SDHCメモリーカードおよびHDDにバックアップとして保存。撮影データは順次、ノートPCからインターネット経由で、東京・秋葉原のUVNスタジオに転送され、Final Cut Pro編集室での編集、MA作業を経て、HDテープによる番組完成原版が作成されています。
■BDタイトルでもAVCCAMワークフロー UVNが自社タイトルとして発売するBD作品『爆音鉄道』シリーズの第2弾作品、『四国土讃線(仮題)』の撮影もAG-HMC155が利用されています。同シリーズは、運転席視線の迫力あるHD映像と電車の走行時に響く重厚な5.1chサラウンド収録で、鉄道ファンから大きな注目を集めている作品。 既発売の『爆音鉄道 ことでん』に次ぐシリーズ2作目となる『爆音鉄道 四国土讃線(仮題)』では、「川の音もあり、列車の近づくタイミングが判り難い状況において、AG-HMC155のプリレック機能が大変重宝しました。早朝でかなりの曇天なうえ、渓谷なので山影ありという、かなり厳しい撮影条件でしたが、新緑萌える早朝の渓谷の感じを記録してくれたと思います。AVCCAMは後処理が大変と考えられがちですが、BD制作まで一貫した便利で有効なワークフローが整っています」としています。
■収録素材をAVCHDフォーマットにアーカイブ 2009年10月7日から放送を開始したBS日テレ『うたもよう ~こころの叙情歌~』(水曜日19:00~19:26(不定期)/全8回)では、収録素材のアーカイブ・編集・データベースのワークフローが採用されています。同番組は、何十年も前に覚えたのに、いまだにメロディを忘れることなく、これから先もきっと人々に歌い継がれる歌、日本人の心をとらえてやまない歌「叙情歌」について、それらの歌が作られた背景や作詞家・作曲家の人生を辿ることで、その歌に託された思いを紐解いていく作品。 HDCAM等のテープメディアによる収録オリジナル素材を、高画質・高効率のAVCHDフォーマットに変換し、編集作業およびアーカイブ構築を行うもので、素材検索を容易にするデータベースの構築も同時に行っています。金森氏は「AVCHDフォーマットは、高画質・低データレートを両立するとともに、PHモードによる1920×1080ピクセルの高解像度をサポートしています。さらに長時間記録が可能なこと、ほぼ全てのノンリニア編集システムでの取り込みが可能といったメリットも有しています。」 テープメディアによるオリジナル収録素材を、HD-SDI入出力が可能なメモリーカードポータブルレコーダー AG-HMR10を介して、SDHCメモリーカードへAVCHDフォーマットで収録しアーカイブを構築するもので、バックアップとして同時にBD収録も行っています。 同社では、レガシーメディアでアーカイブを行っている過去の撮影素材についても、同様のワークフローによるアーカイブ事業を提案し、既に複数の案件がスタートしています。金森氏は「SDHCカードの費用はHDテープと比較しても安価であるほか、保管スペースで圧倒的な圧縮が可能です。バックアップとしてBD収録も同時に行うため、保管場所の分散も可能となります。変換保存用のカギとなるのがAG-HMR10です。」と話しています。