納入リポート【株式会社WOWOW  様

フラットな仕様にこだわり、傾斜ができないように設置されたAV-HS7300シリーズ

株式会社WOWOW様の放送センターは3つのスタジオ・サブをもつ同局の番組づくりの拠点です。その中で最も広い面積を持つAスタジオではこれまで、2000年のBSデジタル放送開始にあわせて導入されたパナソニックのライブスイッチャーAV-HS3300が使われていました。しかし機器・システムの経年劣化にともない、スタジオ・サブが更新されることになったことで、ライブスイッチャーAV-HS7300シリーズをご検討され、4Kに対応できる4ME、72入力、DVE6ch/ME構成でご採用されました。別途で用意された可搬の2MEパネルやボタンひとつでサブ内システムのHDと4Kをシステムチェンジできるシステムの構築などもあわせて、多彩な番組づくりへ柔軟な対応が可能なサブコントロールシステムが、独自性を重要視される番組づくりに大きく貢献しています。

電源の二重化、制御LANの分離などにより安全性が追求されたAスタジオ・サブ

AV-HS7300シリーズのメインフレーム(写真中央)

メインフレームが収納されている機器架。アラーム監視サーバーも導入し、障害発生時の迅速な通知機能とログ記録を実現

HDと4Kのシステムチェンジを簡単操作で実施可能

4Kモードで1.5ME、2DSK、18入力・9出力になったコントロールパネル

お客様の声

株式会社WOWOW
技術局 制作技術部

坂本 寛之 様

制作者の演出意図を制限しないシステムを構築することが技術の仕事です。
4Kやマルチフォーマットへの対応をはじめ、理想に近いスタジオ・サブに仕上がったと思います。

Aスタジオ・サブは、スポーツのコメンタリー付け番組を多く制作しています。海外から生中継のスポーツ素材を受けて、冒頭の顔出し、実況解説、最後の総括をするスタイルの番組を手掛けています。弊社のスタジオとしては最も広く、核となるスタジオです。その重要なスタジオを更新するにあたっては複数の必須要素があり、それを全てクリアしたのはAV-HS7300シリーズだけでした。一つ目は4Kを見据えているということです。デジタルへの対応も早かった弊社の歴史もあり、4Kの番組に早くから関わる可能性は高いと考えています。4K時代到来時に素早く対応できるように準備しておく必要がありました。

二つ目はマルチフォーマットへの対応です。WOWOWの技術業務では23.98PsFを使用したシネマライクな収録が多く、4Kでもそこにこだわりたい番組があると考えました。そのため、60Pの4Kはもちろん23.98PsFをはじめとするマルチフォーマットの4K表現が必要になります。例えば4Kでシネマライクな収録をする場合には、ライブスイッチャーの23.98PsF(もしくは23.98p)の処理は必須で、その運用が可能なシステムを求めました。つまり、4Kであっても様々なフォーマットを使えるような、拡張性をもって受け入れてくれるスイッチャーであることが重要でした。

三つ目は信頼感です。万一のシステムのトラブルがあった場合にどれだけ素早く、的確に対応していただけるかは非常に大切な要素です。パナソニックさんとは、前Aスタジオのスイッチャー(AV-HS3300)はもちろん、現Bスタジオ・サブでもシステム構築をお願いしています(AV-HS5300)。その際、「設計」、「施工」、「保守」と段階が進む中で、それらがセクションごとにブツ切れにならない、一連の流れで仕事が引き継がれる体制であることが安定した運用に繋がっていくことを感じていました。

また、同スタジオ・サブを更新する中で、新しい試みにもチャレンジしました。採用したスイッチャーは4ME構成でサブコントロールパネルを組み入れました。リソースとしては4MEを持っているので、規模に応じてパネル間でMEを分割できます。例えば、番組と連動したネット配信番組などスイッチング場所がAサブではなく、放送センター内の離れた場所である場合も、信号さえAサブに集中できればパネルだけを持って行けばよいことになり、システムを2つ持つ必要がなくなると考えました。

もうひとつの試みとして、フォーマットを含めたHDと4Kのシステムをワンタッチで切り替える仕組みを構築しました。スイッチャーは本体内にHDの番組ファイルと4Kの番組ファイルを持っていて、4Kに切り替えた場合、その番組ファイルを呼び出すことで、4Kを運用するために必要なME構成やクロスポイントアサインを読み出せるようにしました。その他、シンクジェネレータとカメラについてもフォーマットに応じたプリセットを読み出します。本来であれば、ひとつひとつの機器に対して設定変更をしなければならず、どうしても操作を忘れてしまう機器が出てきます。一括で変わるシステムであれば、それを防止することが可能になります。

私は制作者の演出意図を制限しないシステムを組み上げることが技術の仕事だと思っています。そう考えた時、パナソニックさんの細やかな対応もあり、4Kやマルチフォーマットへの対応をはじめ、様々な要件に応えて行ける、理想に近いスタジオ・サブに仕上がったと思います。

システム構成

システム構成

主な納入機器

ラック実装機器

  • ライブスイッチャー AV-HS7300シリーズ(4K対応ソフトウェア含む)
  • フォーマットチェンジユニット
  • ルーティングスイッチャー(189×216)
  • ペリフェラル棚
    VDAユニット
    DDAユニット
    2chDDAユニット
    AVDLユニット
    MUX/DMUXユニット
  • SENDスイッチャー
  • マルチビューアー 28IN×4OUT 2式
  • ビデオタイマー
  • 各種IF棚
  • アラーム監視サーバー
  • スタジオJEEP関連

操作卓

  • SW卓(スイッチャー4ME操作パネル)
  • D/TK卓
  • VE卓
  • PD卓
  • CG卓
  • EVS卓

モニター棚

  • 映像モニター棚 キャラクター表示器(16桁/日本語表示対応)
  • 音声モニター棚関連機器

汎用機器

  • 2MEスイッチャー操作パネル AV-HS7300シリーズ

お客様プロフィール

日本初の民間衛星放送局として、1991年4月に開局。2000年のデジタル放送開始を経て、2011年10月にはフルハイビジョン・3チャンネルの放送を開始されました。世界から選りすぐった映画、スポーツ、ドラマ、音楽などの上質なエンターテインメントを提供されることで常に時代をリードしながら、次世代放送やICTを活用したサービス開発など、新しい試みにも積極的にチャレンジされています。

 

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