VARICAM 活用事例Vol.1

ワークフローを革新するVARICAM 35の4K映像収録・制作

毎週水曜日21時からBS-TBS様で放送されている『極上のクルーズ紀行』(製作・著作:BS-TBS様/企画制作:パナソニック映像)は、世界各国をクルーズし、海洋に広がる地球の美しさや川からでしか出逢えない風景、その土地で育まれた歴史や文化、人々の営み、そして船内での旅の楽しみ方など、クルーズの魅力を紹介するシリーズ番組として人気を博しています。2015年6月10日の第215回では、「洋上初のアクティビティ満載!次世代船で巡るニューヨーク・バハマ アミューズメントクルーズ」と題した2時間スペシャルが放送されました。その撮影では、VARICAM 35をはじめとするパナソニックの4Kカメララインナップが活躍。全編4Kで収録された素材は、番組用にHDで、4Kプロモーション映像用に4K完パケで作成されるなど、4K映像素材をニーズに合わせて効率的に活用することに成功しました。

全編、4K撮影を実現したVARICAM 35とパナソニックの4Kカメララインナップ

今回の撮影では、豪華客船での船旅を臨場感ある映像で伝えるために、可能な限り4K/60pで収録することが重要なテーマとなっていました。ロケは約2週間で9日間の船上撮影と船から降りて行われたニューヨークの街の撮影を実施。そこで撮影には、VARICAM 35を1台(カメラ部のみバックアップ機を1台用意)と同カメラが入り込めない場所の撮影用に4K映像撮影対応の、デジタルカメラAG-GH4UとデジタルビデオカメラHC-X1000を活用し、状況に応じて使用できるように4K対応のウェアラブルカメラHX-A500も準備しました。その4Kカメララインナップによってテレビ番組制作としては数少ない全編4K撮影を実現しています。街の撮影では、VARICAM 35をヘリコプターに搭載しての4K空撮も行いました。

4KクルーズDMワークフロー(4K収録素材から番組/オフライン用素材を生成)

4KクルーズDMワークフロー(4K収録素材から番組/オフライン用素材を生成)

4Kを高画質・高効率に活用するために、VARICAM 35の撮影にはV-Logを採用

船上では早朝から日没まで長時間の撮影が行われるため、9日間に渡る撮影を考える際、膨大な素材を効率良く管理する必要がありました。撮影後の作業をスピーディに行うことはもちろん、映像を記録するexpressP2カードは数に限りがあることもあり、1日で約1TBにもなる4K映像素材は、撮影が終わるとすぐに船内に構築されたファイル変換ルームで翌朝までにバックアップおよび変換作業を実施。expressP2カードに収録された映像データは、expressP2ドライブ経由で2台のハードディスクにクローンとバックアップを作成。変換作業では3840×2160pの4K素材をHDにリサイズし、V-Log収録素材にはRec.709への変換LUTをあて、ProRes 422/Rec.709/1080pの中間素材を作成しました。その際、4K映像をそのままリサイズするだけではジャギーやモアレが出てしまうので、これらを軽減するFilter処理を行います。

また、V-LogからRec.709に変換する際にはLUTを使用しますが、V-Log収録されたVARICAM 35素材はLUTを使い分けることによって、ハイライトの階調を活かした映像、暗部の階調を活かした映像の選択が出来るため、撮影後の変換処理による映像表現の選択も可能になりました。

今回のシステムではHDへのリサイズに加え、Filter・LUT処理が一つのソフトウェア上で一度のレンダリングにより行われたため、4K映像から高画質のHD映像へ効率的に変換することができました。

その後、番組用に1080pから1080iにコンバートして番組用素材を作り上げる方法をとりました。また、1080iのProRes 422 / Rec.709データは、4K映像向けのオフライン用素材としても活用されました。

 

VARICAMのDNAと放送システムで培った確かなワークフローの実現で4K制作に貢献

「VARICAMには、フィルムカメラ時代の初代VARICAMから受け継ぐ“VARICAMの画”がある。この黒の締まり方や輝度域、柔らかさや温かさは、VARICAMだからこそ出せる画だ」と、ご担当者は語ります。今後、さらなる広がりが予想される4K制作。

その制作の際に求められるVARICAMのDNAを引き継いだ高いクオリティを持つ4K映像と放送システムで長年培ってきた効率的な映像制作ワークフロー。「V-Logでなければこのワークフローは成立しなかった」、「4K収録においてはそのデータの安全で確実な取り回しがどうしても大切な要素となり、どのような4K撮影でもデータマネージメントをするスタッフの配置は必須です」とご担当者は語ります。今回の収録でも、制作期間の短さや持ち込める機材の量に限りがある中で、美しさを考えたときの4K収録の優位性とスムーズに制作を進行するための効率的なワークフローを実現するV-Logが、その高い品質とスピード感の両立を求める現場に対応しました。

VARICAM 35はその両方を実現するカメラとして、映画からCM、テレビ番組まで多彩な制作現場で活躍していきます。

 

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