VARICAM 35 活用事例 Vol.3

VARICAM 35の進化は映画撮影に大きなメリットをもたらす

2016年公開の映画『種まく旅人~夢のつぎ木』(佐々部清監督)は、VARICAM 35を撮影に活用した。

同作品は『種まく旅人~みのりの茶~』(2012年)、『種まく旅人 くにうみの郷』(2015年)に続く“種まく旅人シリーズ”の第3弾。毎回、日本各地の原風景を背景に、そこで生きる人間模様を描写しており、最新作となる『種まく旅人~夢のつぎ木』は岡山県赤磐市の桃農家を舞台に物語が展開する。主演は高梨臨と斎藤工。

そのシリーズ全作品で撮影監督を務めているのが阪本善尚氏。『種まく旅人~夢のつぎ木』ではVARICAM 35×2台を使用(V-Log収録)したほか、一部シーンではAG-GH4Uを併用した。阪本氏はVARICAM 35の全体的な使用感として「極めて安定しているカメラ」と評し、「他の機種と比べて特にS/N比が優れていると感じました。パナソニックの撮影機材は、DVCPRO時代からいろいろと使ってきましたが、VARICAM 35はトータルに高いレベルでまとまっている、という印象を持ちました」と続ける。

デュアル・ネイティブISOが威力を発揮
ISO5000の有用性は夕景・夜景だけではない

『種まく旅人~夢のつぎ木』には、果樹用のLED防蛾灯が桃畑一面に並ぶ夜景シーンが登場する。そこで威力を発揮したのが、VARICAM 35のデュアル・ネイティブISO。阪本氏は「ISO5000という高感度性能によって、大掛かりな照明機材を組まなくても、何の問題もなく撮影することができました。VARICAM 35は、月明かりだけでも撮影可能な感度を備えているため、リアルで臨場感のある夕景や夜景を収録できます」と話す。

また、「ISO5000の有用性は、低照度という特殊なシチュエーションだけのものではない」とし、ナイトシーン以外にも便利な使い方を発見したという。「手前と奥に人物を縦に配置した場面で、シーンの狙いや会話の内容に対して、どちらにピントを合わせるべきか、どれくらいの深度にしておくか、について思案していたとき、撮影現場で試しにISO5000に切り換えてみたところ、一気に約2.5段分絞れたため、一方にピントが合いつつ、もうひとりの表情や様子がギリギリ分かるような狙い通りの画を撮ることができました。その際、絞り過ぎだと感じたら、NDを入れてちょっと戻せばいいわけです。この方法は、これからも使っていきたい。VARICAM 35は、感度を上げてもS/N比が良いため、ほとんど気にならない点もアドバンテージ」とする。

従来の撮影では、2.5段分絞りを変えることになると、被写体や背景の照明セッティングを改めてやり直さなければならない。「セットでも大変ですが、ロケセットだともっと大変。“待ち時間”が生じてしまう。ISO5000という機能を使うことで、ライティングを変えずに、瞬時に深度を稼げる。長焦点レンズで背景をボカして撮っているとき、もう少し深度を入れたいと思ったらISO5000に切り換えるだけでOK。標準レンズでもパンフォーカスの画作りがすぐにできる。デュアル・ネイティブISOは、日中のレギュラーの場面でもとても便利です」(阪本氏)

コントロールパネルの優れた操作性 カメラマンや映像制作者の声を反映

VARICAM 35ではパラメーターを操作する際、レコーディングモジュールのコントロールパネルで行うこととなるが、阪本氏はそのユーザビリティにも感心したという。「インターフェイスの使い勝手がとても良かった。映画の現場にフィットしたつくりになっていました。いちいち深い階層に入らることなく、すぐにパラメーターを変えられる。VEやDITといった専門職でなくても、短時間で順応できる。こうした高い操作性は、撮影トラブルの減少にもつながります」。

加えて、「可動式のコントロールパネルが、筐体の両サイドどちらにも取り付けられる工夫も映画の現場に適していた」とする。ENGスタイルの場合にはファインダーを覗くカメラマン自身がコントロールパネルを操作するため、筐体の左サイド(カメラマン側)に設置されている方が便利だが、映画撮影では主に撮影助手がコントロールパネルに触れるケースが多く、左サイドのままではファインダーを覗くカメラマンとパネルが重なってしまい、不便が生じる。「そこが解消されたのは大きい。カメラマンや映像制作者の声を実機に反映させたパナソニックの姿勢は高く評価しています」と阪本氏。

なお、コントロールバネルの3.5型LCD画面はライブビューに対応しており、ボタン1つで“いま、どういうアングル・画角で何を撮っているのか”がリアルタイムにわかる設計となっている。「これは撮影助手にも好評です。実際の画をパネルで確認できるため、ミスを無くすことができる。そうした一連の使いやすさは、限られた時間の中で準備・撮影しなければならない日本映画の現場にマッチしていると感じました」(阪本氏)

VARICAM 35はクオリティを落とさず、 日本映画のスケールに見合った撮影体制を実現できるカメラ

阪本善尚 氏

阪本善尚 氏

阪本氏は「日本映画の制作現場では“迅速性”と“安全性”が常に求められます。VARICAM 35はそのニーズにきちんと対応している」と指摘。V-Logガンマ、ワイドなダイナミックレンジ、イン・カメラ・カラーグレーディング、ダブルレコーダー(メイン/サブ)、デュアルコーデック、ISO800/5000を標準感度とするデュアル・ネイティブISO、柔軟なカメラワークに向けた優れた操作性など、VARICAM 35の多様な機能の進化は、「日本の映画撮影に大きなメリットもたらす可能性がある」としている。

日本の映像作品の多くは、予算規模に応じたコンパクトなスタッフ編成と機材構成、タイトなスケジュールなど、決して潤沢とは言えない条件・環境下で制作が行われている。「そうした中でベストを尽くそうとするとき、カメラの機能性や機動性、安定性は看過できない要素になってくる。前述した、大掛かりな照明機材を必要としないISO5000、インターフェイスの使い勝手の良さなど、現況の制作環境に即した機能を備えたVARICAM 35は、“クオリティを落とさず、日本映画のスケールに見合った撮影体制を実現できるカメラ”と捉えることができると思います。さらに言えば、今後このカメラがより浸透していくことで、次世代の“新しい撮影部”のスタイルが生まれる力も秘めている。パナソニックには、国産メーカーとしての使命感を持ちながら、VARICAM 35の普及に努めて欲しい、と期待しています」と阪本氏は語る。

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